研究概要 |
研削面の粗さが数十nmになると,これまで粗さの中に埋もれていた微小な振幅のうねりが顕著になる.このうねりをナノトポグラフィーと呼ぶ.たとえ超精密研削を行い,形状精度50〜100nm,最大高さ粗さ10nmが達成されたとしても,研削面にナノトポグラフィーが発生していると品位に劣り不良品として扱われる.このナノトポグラフィーの原因は砥石・工作物間の相対振動であることが明らかとなっている.そこでこの振動を吸収するためにゴムをボンドとするゴム砥石を新たに開発した.一般的に工具がやわらかい場合,高い形状精度を得ることは難しい.そこで砥石の弾性変形を考慮した砥石送り軌跡算出プログラムの開発が必要である.そこで前加工面の形状誤差曲線と砥石の弾性変形を考慮し,最適な砥石送り軌跡を算出するプログラムを作成した.これまでの結論を以下に記す. 1.砥粒を顆粒状にしてゴム内に分散させることにより,埋没を防ぐことが可能である. 2.ダイヤモンド砥粒の電着砥石を用いることにより,ゴム砥石をツルーイング・ドレッシングできる. 3.ゴム砥石を用いて研削を行うことによりナノトポグラフィーの発生を抑制することができる. 4.ゴム砥石は研削中に弾性変形するため,高い形状精度を得ることが難しい.弾性変形により発生する形状誤差を予測し,適切な砥石送り軌跡を与える必要がある. 来年度は引き続きゴム砥石によるナノトポグラフィーの抑制を試みると共に,研削面の均一性の評価法を開発しナノトポグラフィーの抑制を定量的に評価する.
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