研究概要 |
研削面の最大高さ粗さが数十nmと良好になると,これまで粗さの中に埋もれていた微小な振幅のうねりが顕著になる.このうねりをナノトポグラフィーと名付けた.ナノトポグラフィーは形状精度と研削面粗さには大きな影響を与えない.しかし研削模様として目視が可能となる.そのため超精密研削により高い形状精度と平滑さを有する研削面が得られた場合であっても,ナノトポグラフィーが研削面上に存在すると,品位が劣るため不良品として扱われる.このナノトポグラフィーの原因は主に砥石アンバランスに起因する砥石・工作物間の相対振動であることが明らかになっている.この振動を吸収するためにゴムをボンド剤とするゴム砥石を新たに開発した.このゴム砥石を使用することにより,ナノトポグラフィーを抑制することに成功した.しかしゴム砥石は変形し易いため,高い形状精度を得ることが難しい.そこでゴム砥石の弾性変形を考慮した新たな砥石送り軌跡算出プログラムを作成した.またゴム砥石のドレッシングに応用することも可能な,レーザコンディショニング法を提案し,装置の開発を行った.これまでの結論を以下に記す. 1.ゴム砥石を開発し,ナノトポグラフィーを抑制した均一な表面の研削加工を実現した. 2.研削中に発生するゴム砥石の弾性変形を考慮した砥石送り軌跡算出プログラムを作成した. 3.ゴム砥石へ適用することが可能なドレッシング法を開発した. このように,本研究の目的である超精密研削面の均一性向上は達せられた.
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