研究課題
工作物を所望の形状に加工することを目的とした工作機械の制御では、送り駆動系各軸の位置誤差ではなく、工作物の形状誤差を考慮した制御系を設計することが有効である。このため工作物の輪郭形状に関する誤差(輪郭誤差)を直接フィードバック信号として用いる輪郭制御法がこれまでいくつか提案されている。既存の輪郭制御法では、送り駆動系各軸の位置誤差と輪郭誤差の双方をフィードバック信号として用いるため制御器ゲインの調整が煩雑になる、所望の輪郭形状の陰関数表現が必要である、限定された輪郭形状に対してのみ制御系の安定性が保証される、送り駆動系各軸の動特性の違いが小さい場合にのみ応用できるなどの問題を有している。本研究では、輪郭軌道の接線方向および法線方向に関する追従特性を独立に調整できる新たな輪郭制御法を提案した。この方法では既存の方法に比較して制御器ゲインの調整が容易になるほか、上述の既存の方法における前提を必要としないなどの利点を有する。この方法を拡張し、送り駆動系の動特性モデル化誤差や摩擦を含めた外乱を有する場合にも有効なロバスト輪郭制御法を提案した。この方法では動特性モデル化誤差や外乱の大きさの上限が制御系設計に必要であるため、さらにこの上限のオンライン調整機構を付加したロバスト適応輪郭制御法を提案し、この制御系の安定性を示した。工作機械送り駆動系を模擬した実験装置を構築し、提案法の有効性を検証した。提案法では輪郭軌道の接線方向に関する追従性能と無関係に法線方向の追従性能のみを向上できるため、各軸独立の制御系に比較して制御器ゲインを小さく保ちつつ同程度以上の輪郭精度を得ることができ、結果的に高い安定性を有することが確認された。また、提案するロバスト輪郭制御法およびロバスト適応輪郭制御法の有効性についても実験的に確認した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
2006年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集
ページ: 177-178
日本機械学会生産システム部門講演会2005
ページ: 29-30
2005年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集
ページ: 45-46
International Conference on Mechatronics Technology, Kuala Lumpur, Malaysia
ページ: T7-1