研究概要 |
Si基板上に親水性のSiO_2と疎水性のOTS-SAMから構成される親水/疎水パターン,あるいは微細溝を配列したテクスチャを作製することで,同表面上での液体の漏れ広がりを制御することに成功した. 親水/疎水パターン基板上では液体が親水部にのみ選択的に漏れ広がることを利用し,球状微粒子を分散させた懸濁液から基板を引き上げることで,親水部に球状微粒子が六方最密充填に配列した2次元微細構造を自己組織的に創成できることを明らかにした.これは,懸濁液が乾燥する際に微粒子間に液架橋力が働くため,自律的に集合・集積化されることを利用している.創成された構造体は高さ(厚さ)が微粒子直径(400nm〜3μm)であり,縦横は親水疎水パターンの設計寸法(20〜100μm)よりも若干小さくなる.ここで,親水部の幅が一定であっても周囲の疎水部の幅が異なる場合には創成される微粒子列の幅が異なる.さらに,漏れ広がりが温度や変化,および表面残留物質などの外乱に敏感であるため,微細構造の端面が不規則に変化しがちである.そこで,電気漏れを微細構造創成プロセスに適用した.電気漏れは電気的に絶縁された固体と液体間に電位差を与えることで,固体の表面エネルギを遷移して親水性を高められる技術である.30Vの電位差を付与しながら上記の微細構造創成を試みたところ,漏れ広がりが安定して微粒子整列幅のばらつきが減少し,さらなる親水化によって整列幅を増加できた. 次いで,深さ100nm程度の微細溝を施した基板に対して上記と同様のプロセスの適用したところ,毛細管力によって液体が微細溝に沿って選択的に漏れ広がり,結果として親水/疎水パターンと同様の構造を作製することが確認された.ただし,微粒子列端面は微細溝の壁面で制限されるため,その端面の直線性は親水/疎水パターンに比べて高くできることがわかった.
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