研究概要 |
平成17年度は,水晶振動子マイクロバランスを用いた液膜粘性評価装置の改良と,分子動力学法,粒子法を用いたシミュレータの開発を行った. 水晶振動子マイクロバランスは振動子表面に付着した液膜の物性を高感度で測定できる一方で,振動子の取り付け方法,装置全体の固定方法によって測定結果にばらつきが生じてしまう.そこで,振動子を電極に取り付ける際に用いるO-リングの材質の選定や,固定方法の改良を行い,このばらつきを抑えることに成功した.炭化水素系の潤滑剤を用いた実験で,潤滑剤の粘性・密度と振動子の共振周波数の変化とが関連付けられることを確認した.32nd Leeds-Lyon symposioum on Tribologyに参加し,"Evaluation method of physical properties of adsorbed layers by using QCM"という題目で研究発表を行った. 分子動力学法を用いたシミュレータについては,すでに開発済みのコードを改良して固体表面の電子状態が液膜の存在形態に及ぼす影響を調べている(トライボロジー会議予稿集‘分子動力学法によるナノ薄膜潤滑のシミュレーション -吸着サイトの影響-').また新たに,水晶振動子マイクロバランスの測定原理を模擬するモデルの構築を開始した.振動子の横ずり振動が液膜にどのように伝わるのかを解析している.現時点では単純な単原子分子液膜を対象としているが,固体表面近傍での液膜の層状構造に及ぼす横ずり振動周波数の影響を明らかにした.
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