研究概要 |
着雪・着氷を有する円柱状構造物における流力振動現象の解明と防止に関する本年度の研究実績は以下の通りである.なお,当初の計画では着雪・着氷を有する円柱状構造物における流力振動現象の振動応答特性および振動時における流れの解明が第一の目的であったが,本年度は本課題においてその基礎となる着雪・着氷を有しない場合の円柱状構造物の流力振動現象についての結果が主となっている.本年度の実績の第一は,流力振動発現時における円柱の数値シミュレーション解析結果は,可視化観測実験におけるフローパターンと良好な対応を示し,振動時の円柱における流れの解析を行う手法ができたことである.また具体的な結果としては,まず円柱においてインライン(流れ方向)振動が発現する場合,その発現する流速域は二つ有り,それぞれにおいて円柱表面下流側に双子渦,あるいは交互渦が形成され,それらの渦は後流においてカルマン渦列を形成する.この渦形成機構の詳細を可視化観測実験並びに数値シミュレーション解析によって明らかにした.つぎにインライン振動時の円柱に作用する変動圧力の測定を行い,振動時における変動抗力係数および変動揚力係数を明らかにした.またインライン振動時における円柱表面の変動圧力分布の振動1周期における変化とはく離せん断層の挙動との対応を明らかにした.そしてさらにインライン振動発現時における変動抗力係数と変動揚力係数の周波数比とフローパターンの関係を明らかにし,二つの流力振動領域の間における流力振動の収束時における流れを明らかにした.
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