研究概要 |
本年度は遷音速ディフューザ内の三次元構造を明らかにするため,ヨウ素をシードとしたレーザー誘起蛍光法を遷音速ディフューザ流れに適用した. 本実験で用いた風洞は大気吸い込み式遷音速風洞で,作動気体は窒素である.風洞上流部に接続された塩化ビニル製のバルーンに水分含有率5ppm以下の窒素を封入しておき,風洞が作動状態になるとバルーン内の窒素は測定部に流入する.その際,作動気体にヨウ素を昇華させる.レンズによりシート状にされたアルゴンレーザーを流れ場下流から上流に向けて照射する.レーザーによって誘起されたヨウ素の蛍光強度分布をイメージインテンシファイア付きのCCDカメラで撮像し,パーソナナルコンピュータに記録する.得られた蛍光強度は温度の関数であるので,コンピュータにより流れ場の温度分布に変換する.レーザーシートとCCDカメラはダクトスパン方向にトラバースすることができるので,コンピュータ断層法を用いることにより流れ場の三次元温度分布を取得できる.さらに流れ場の状態変化は断熱変化なので三次元温度分布を三次元マッハ数分布に変換することができる. 上述のようにして,遷音速ディフューザ内の三次元マッハ数分布を測定した結果,ディフューザ側壁の存在により流れ場は強い三次元構造を有していることが分かった.また,このような流れの三次元構造は側壁と上壁が交わるコーナ部の衝撃波構造の三次元性が原因であることがわかった.
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