研究概要 |
乱流が層流へと遷移する現象は、様々な実用機器で利用されている固体吸着剤や触媒などハニカム形状をした充填層内の流れに加え、マイクロリアクターや多種にわたるマイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS) 装置内の流れにも多く見られるため、そのメカニズムを解明することは、これらの設計および操作条件の選定を行う上で極めて重要である。 本研究では、高精度の三次元直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation, DNS)法をチャネルおよび円筒内流れに適用することにより、流れが乱流から層流に至る遷移メカニズムを解明することを第一の目的とする。また、この流れ場中に微小粒子を投入することにより、乱流-層流遷移過程における微小粒子の挙動(特にその壁面への付着特性)、およびそれらの微小粒子が遷移特性に与える影響についても詳細に検討する。 平成17年度は、1番目の目的を対象に、三次元DNS法をチャネル内流れに適用することにより、流れが乱流から層流に至る遷移現象を数値的に再現した。また、流入するレイノルズ数(Re)を420、630、1060と変化させた3例の計算を実施することにより、チャネル内に流入した乱流は下流に行くに従って層流へと遷移するが、その乱流が持続する主流方向距離は、流入するレイノルズ数が大きいほど長くなることを明らかにした。さらに、本計算結果と既往試験結果との比較から、このような流れ場が乱流から層流へと遷移する挙動は工業装置内に設置される脱硝触媒内の流れに見られること、また、この挙動が触媒入口部の顕著な汚れに強く起因することが分かった。
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