研究概要 |
乱流が層流へと遷移する現象は、様々な実用機器で利用されている固体吸着剤や触媒などハニカム形状をした充填層内の流れに加え、マイクロリアクターや多種にわたるMEMS装置内の流れにも多く見られるため、そのメカニズムを解明することは、これらの設計および操作条件の選定を行う上で極めて重要である。 本研究では、高精度の三次元直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation, DNS)法をチャネルおよび円筒内流れに適用することにより、流れが乱流から層流に至る遷移メカニズムを解、明することを第一の目的とする。また、この流れ場中に微小粒子を投入することにより、乱流-層流遷移過程における微小粒子の挙動(特にその壁面への付着特性)を詳細に検討する。 平成18年度は、平成17年度に開発した三次元直接数値シミュレーション(Direct numerical simulation, DNS)法を、流れが乱流から層流に至る遷移現象を伴うチャネル内流れに適用することにより、その中に投入された微小粒子の挙動を詳細に検討した。この結果、乱流から層流に至る遷移挙動が粒子の運動に強く影響を及ぼすことがわかった。具体的に明らかになった内容は以下の通りである。 (1)入口部における乱流は粒子の壁面への付着を促進し、その影響は、粒径が大きな粒子ほど慣性の影響によって顕著になる。 (2)乱流-層流遷移は角柱管の四隅付近から進むため、下流域における粒子付着はこの四隅領域を除いた壁面に集中する。 (3)以上のような微小粒子の挙動は、脱硝触媒の劣化に多大な影響を及ぼすことが示唆される。
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