研究概要 |
本研究では,気泡と液相乱流における気液間相互作用及び界面変形効果,気泡間相互作用,クラスター化等の解明を目的とし,MARS法による直接数値計算手法の確立を目指す.対象とした流動場は,計算機負荷等を考慮し,一様等方性乱流場,せん断乱流場(ミニマムチャンネル乱流)を選択した.初期場の液相乱流場に関しては単相乱流場の直接数値計算結果を用い,気液の物性値は,常温状態の空気及び水の値を使用し,MARS法による直接数値計算を実行した. 加振を伴う一様等方性乱流場中に単一気泡を混入した.定常状態における乱れエネルギーと散逸率に基づくレイノルズ数は約80とし,気泡径を約1mm(直径方向に約32セルで解像)とし時間積分を行った.気液間相互作用に伴う界面変形が観察された.しかし界面変形に伴う乱れ領域が時間積分と共に拡大し,加振を行っている低波数域に近づいてきたため,計算を中止した.本条件で発達状態を得るには,計算領域を拡大する必要があると考えられる. 次にせん断乱流場の最も基本的な流動場であるチャンネル乱流を対象とし,十分に発達した乱流レイノルズ数150の液相乱流場中に,気泡径約1mmの気泡を4個混入した数値計算を実行した.時間積分は,気泡を混入してから乱流時間で約400程度行い,発達した気液混相乱流場を作成しDNSデータベースの構築した.格子依存性を評価した結果,格子解像度に関わらず気泡がチャンネル中央付近に存在する場合は,(気液間速度差及び気泡径に基づく)粒子レイノルズ数は約100程度であった.気泡変形に関しても,気泡表面の凹凸に関しては,解像度の違いにより違いが見受けられるものの,気泡全体(統計径)ではほぼ同様の傾向が伺え,本研究で作成したDNSデータベースの信頼性を確認できた.
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