研究概要 |
1.実験装置の製作 (1)循環ブロワ,加熱器,飽和器,過熱器,テストセクション,ドレン分離器,から構成される実験ループを製作した.テストセクションは実機適用を想定し,水平円管から構成される2行×24段の管群とした.管群は縦94mm,幅44mmの矩形流路中にステンレス鋼(SUS316)製外径15.88mmの冷却管をピッチ22mmの千鳥配列した. (2)凝縮が生じない条件で単相強制対流熱伝達係数を計測し,既存の熱伝達係数推定式による計算値と±3%以内で一致することを確認した.また気体中の水分凝縮が生じる実験条件で,テストセクションにおけるガス側エンタルピ減少量と冷却水温度上昇量の比較より熱収支が±5%以内でとれていることを確認した.これらの結果により,製作した実験装置および実験方法が妥当であることが確認された. 2.不凝縮ガス分離実験 (1)試験流体に空気と水蒸気の混合気体を用いた.圧力0.1MPa,不凝縮ガス重量分率40〜60wt%,流量26〜58kg/hの範囲において,熱伝達データを計測した. (2)熱伝達係数の流速依存性は,流動飽和蒸気の膜状凝縮熱伝達と管群単相強制対流熱伝達の流速依存性の中間となった. (3)熱伝達係数は,不凝縮ガス濃度の増加により減少し,不凝縮ガス重量分率40〜60wt%で純蒸気凝縮熱伝達係数の10〜20%程度となった.この結果を不凝縮ガス重量分率20wt%以下に対して作成された熱伝達係数推定式を外挿して求められる計算値と比較したところ,実験値は計算値の2倍程度となった. (4)平成18年度は,熱伝達データ計測に加え凝縮状況の詳細調査を行って,湿分凝縮による不凝縮ガス分離現象の解明を進める予定である.
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