研究概要 |
透過性を有する多孔質角柱まわりの流動様相,流動特性について実験および数値解析による検討を行い,以下の結果を得た. (1)ダルシー数(無次元透過率)あるいはレイノルズ数が増大するほど,多孔質内部を透過する流れは促進される.すなわち条件によっては,多孔質内部を透過した流れはカルマン渦の発生領域にまで達し,後流域のカルマン渦を完全に抑制する.ダルシー数あるいはレイノルズ数が大きいほど,カルマン渦の抑制効果は大きい. (2)多孔質透過流は,多孔質内部において摩擦圧力損失を生じ,多孔質角柱の前面と背面との圧力差を増大させる.一方で,多孔質透過流は物体後流の渦形成領域を下流側に移動させ,多孔質物体の前面と背面の圧力差を低減させる.低レイノルズ数および低ダルシー数においては,相対的に前者の影響が強く,非透過性物体よりも大きな圧力差が生じる場合がある.高レイノルズ数および高ダルシー数域では後者の影響が支配的であり,固体物体の場合よりも圧力差は小さくなる.ブロッケージ比が大きいほど多孔質物体まわりの圧力差は増大する. (3)多孔質物体の抗力係数は,物体まわりの圧力分布に大きな影響を受ける.すなわち低レイノルズ数および低ダルシー数領域では,透過流による物体まわりの圧力差の低減効果がほとんど無く,内部の摩擦圧力損失によって固体物体の場合よりも大きな抗力を受ける場合がある.高レイノルズ数および高ダルシー数の条件では,透過流による物体前後の圧力差の低下が内部摩擦による抵抗の増加を上回り,抗力係数は固体物体の値よりも小さくなる.ブロッケージ比が大きくなると,抗力係数は増大する.
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