研究概要 |
細分化格子法とVOF法を用いた相変化を伴う熱流動解析法の開発として,平成17年度は,格子の細分化方法の開発と計算精度の確認で必要となる気泡成長観察実験装置の作成および静止気泡形状の推定法の開発を行い,次の結果を得た. (1)スタッガード格子を用いたときの細分化方法の開発 表面を数値的に表すのにVOF(Volume of Fluid)法を用いた場合,検査体積表面に速度を設定するスタッガード格子を用いなければならない.細分化格子法では,細分化のたびに周囲の格子番号を再認識させる必要があり,さらにスタッガード格子では,圧力位置と速度位置が異なるためにその作業はかなり複雑なものとなる.そこで,細分化格子の周囲部にダミーの格子を配置するスタッガード格子用の細分化方法を提案し,プログラムを作成した.その結果,計算メモリーは若干多くなったが,周囲の格子番号を認識させる作業ルーチンが単純であるため,計算時間は減少した.現在,流動用プログラムによる動作および計算精度を確認している. (2)気泡成長観察実験装置の作成 開発した解析法の計算精度を確認するために必要となる気泡成長現象を観察する実験装置を作成した.そして,底部のノズルから空気を一定流量で流入して成長する気泡の様子を高速度ビデオにより撮影できることを確認した. (3)静止気泡形状の推定法の開発 毛細管上昇法などを用いて表面張力や界面張力を測定し,気泡界面における釣り合いの式より求めたラプラス方程式より,不溶性混合液の界面に捕獲された気泡形状を推定した.この推定法では,界面が交わる点において3つの表面張力(界面張力)のベクトルが釣り合うと仮定した.その推定法より求めた気泡形状を実験装置で観察された気泡形状と比較したところ,位置誤差で2%以下であり,高精度で気泡形状を推定できることが分かった.
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