研究概要 |
細分化格子法とVOF法を用いた相変化を伴う熱流動解析法の開発として,平成18年度は,次の数値解析および測定実験を行い,次の結果を得た. (1)スタッガード格子を用いた細分化方法による流動解析 界面を数値的に表すのにVOF (Volume of Fluid)法を用いた場合,検査体積表面に速度を設定するスタッガード格子を用いなければならない.細分化格子法では,細分化のたびに周囲の格子番号を再認識させる必要があり,さらにスタッガード格子では,圧力位置と速度位置が異なるためにその作業はかなり複雑なものとなる.そこで,前年度,細分化格子の周囲部にダミーの格子を配置するスタッガード格子専用の細分化方法を提案した.そこで,本年度は,ダミー格子を配置する細分化格子法のプログラムを作成し,直交座標系で円柱周りを細分化した計算格子で流れ場を解析したところ,細分化格子を適用することにより計算精度を向上できることが確認できた.動く界面の近傍を自動で細分化するプログラムの開発まで行うことができなかったが,細分化格子法を気泡などの界面に適用することにより計算精度が向上することが分かった. (2)気泡成長実験による気泡形状の測定 製作した気泡成長観察実験装置で,底部のノズルから空気を一定流量で流入して成長する気泡の様子を高速度ビデオにより撮影した.そして撮影した画像より気泡形状を測定した.空気の流入速度が遅い場合は,昨年度提案した気泡界面における釣り合いの式より求めたラプラス方程式を用いて算出する気泡形状に近かった.しかし,流入速度が速い場合は,気泡形状は縦長に変形していた.提案した格子細分化法による流動解析プログラムが完成した時に,計算精度を確認できる気泡形状を実験により得ることができた.
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