本研究の目的は、急曲線においても脱線などの危険性のない安全な曲線通過を実現する鉄道車両走行装置(台車)の開発である。平成17年度は、以下の検討をおこなった。 1.走行装置詳細構造のモデリングと制御および数値解析 マルチボディ・ダイナミクスソフトウェアを製作し、走行装置の詳細なモデリングを行い、車両モデルの曲線通過数値シミュレーションを活用した台車構造の検討をおこなった。また、台車構造のみでなく、曲線通過時のアクティブな操舵制御を提案した。解析の結果、提案する独立回転方式の車輪構造は、従来の鉄道車両用輪軸と比べて脱線係数低減効果、走行安定性の向上が理論的に可能であることが示された。 2.スケールモデル走行装置の製作 数値解析で検討した操舵台車の構造とアクティブ操舵制御の有効性を検証するために、1/10スケールモデルの走行実験装置の制御システムを整備し、予備的に走行実験を実施した。実験装置においては、マルチボディ・ダイナミクス解析結果をもとに操舵系のジオメトリを可変な構造に改良し、アクティブ制御に用いる操舵用アクチュエータとセンサからなる制御系を構築した。予備的な走行実験を実施し、数値解析結果との比較により提案する車両設計手法の有効性の一部を証明することができた。これら実験において示された結果の一部は国外講演会(IAVSD2005)および国内講演会(JRAIL2005)において発表した。 平成18年度以降においては、前年度において整備された数値解析環境、および実験環境を活用して、さらに継続して研究を遂行する。
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