本研究の目的は、急曲線においても脱線などの危険性のない安全な曲線通過を実現する鉄道車両走行装置(台車)の開発である。平成18年度は、以下の検討を行った。 1.走行装置のアクティブ制御系の設計、および数値解析による有効性検証 マルチボディ・ダイナミクスの観点から、車輪・レール間の接触摩擦特性をモデル化しつつ、独立回転方式という特異性を有する操舵性台車のモデリングをおこなった。構築したモデル、および数値解析環境を活用し、車輪・レール間の相対変位の情報を活用したアクティブ操舵制御手法について、新たな方式を提案し検証した。数値解析によって、制御系のパラメータ選定、および制御によって実現される走行性能向上効果として、車輪・レール間に作用する接触力の観点から有効性を検証した。アクティブ制御によって半径25mという鉄道にとっては超急曲線の条件下であっても、従来の鉄道車両台車と比較して脱線係数を大幅に低減することが示され、理論的に有効性が示された。 2.スケールモデル走行装置を活用した走行実験 東京大学生産技術研究所所有の1/10スケールの走行軌道を借用し、提案するアクティブ操舵機能を有する台車の走行実験を実施した。走行実験の結果、数値解析と同様に実験においても急曲線操舵における有効性が示された。これら実験の成果は、国内の講演会における発表(3件)に加え、平成19年度の鉄道技術に関して最も権威ある国際会議、IAVSD2007において成果を発表予定である。
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