研究概要 |
研究初年度である平成17年度は,1自由度系のパターン形成発生のための試験装置の改良から行った.前年度までの製作されていた同装置におけるパターン発生の再現性を向上させるため次のことを行った.(1)振動体部の質量を増加させるため,新しい質量部分の製作.(2)スリップ率の変動を抑制するため,ACサーボモータを上下ロールにそれぞれ設置と,運転のための回路系構築(3)板ばねの両端部における位置決め,および剛性不足の問題があったため,両端固定部と振動体固定部分が一体化した板ばねを製作し,設置.これらの事項について約5ヶ月間かけて行った.その後,パターン発生実験を行ったが,前回の装置から大幅に各種パラメータが変更されたため,再びパターンを発生のための条件設定のための実験を開始した.上部板ばねのばね定数,振動体質量等は変更できないため,上下ロール間における接触ばね定数を,上部板ばね固定部に取付けた調整用ボルトで,押付け圧を変えることで調整を行った.またパターン発生のためのロール表面の摩耗粉除去の有・無の差についても考察を行った.この装置の固有振動数は190Hz〜240Hz程度まで変更可能であり,190Hz程度の時は,ロールの偏心のため,徐々に摩耗が進行するにつれパターンが発生する前に,上下ロールが接触しない領域が現れた.また220〜240Hz程度の領域においては,うっすらとパターンが発生したがロール端面にそりができていたため塑性変形によるパターンであった.200〜210Hz前後の領域においては摩耗によるパターンが発生したが,ロール偏心量(50μm〜80μm程度)が大きいために,全周にわたって発生することなく部分的に発生したパターンしか確認されなかった.今後,ロール偏心量の低減のため,ロールとシャフトを一体の状態で研磨できるようシャフトの改良を行い,動吸振器の製作を行い,防止対策についての実験を行う予定である.
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