研究概要 |
前年度までに製作した実験装置では,パターン発生の再現性に問題があったため,シャフトとロールを再設計した.改善点は以下の2点である.(1)シャフトとロールを取り付けた状態で,旋盤に設置できるよう形状変更した.このことで,ロールとシャフトを一体にした状態で研削し,偏心量を抑えた.(2)ロール固定時にロックナットとの摩擦のため,ロール周方向に移動し,偏心量が増大していた.そのため,キーにより回転方向へ動けないスペーサ挿入できる構造とした.これらの部品は外注により製作した.その結果,偏心量は以前のロールの1/8程度まで抑えることに成功し,そのためパターンの再現性は格段に向上した. 次に,実験装置の質量の変更を行った.これまでの実験装置は,動吸振器を取り付けた後の重量までは考慮されていなかったため,これを考慮した質量へと変更した. 実験中は,レーザ変位計により上ロール形状を常に観測し,最終的なパターン発生までの形状変化の経緯について,データを得ることに成功した.動吸振器は,"製鉄機械ホットレベラに発生する多角形摩耗第3報,動吸振器を用いた多角形摩耗の防止・遅延対策"(日本機械学会論文集71-704,C1123-1130,2005)の中で発表した最適設計法に従い行った.また,質量比,ばね定数,減衰比等を変更できるものとして設計した.ただし,パターン発生までの時間に大きなばらつきがあり,動吸振器の効果について定量的な評価を行うまでにはいたらなかったものの,おおよその範囲でその効果を確認できた.
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