研究概要 |
昨年度の研究では,人間-装具間の接触力に基づく手法ならびに筋電位に基づく手法を開発したが,人間から装置への情報伝達手段は装置の取り扱いの容易さと精度を両立する必要がある.そこで本年度は,動作中に人間に加わるあるいは人間の発生するトルクを直接測定するためのトルクセンサを開発した.開発したセンサはプーリとスプリングから構成される.身体とのインターフェイスとして装具を用い,その片側にプーリを固定しプーリ,ワイヤそしてスプリングを介して空気圧ゴム人工筋と接続する.人工筋がトルクを発生するとスプリングが変位するため,人工筋と装具に角度差が生じる.あらかじめトルクと角度差を校正することで,リニアエンコーダを用いて検出した角度差から実際に加わるトルクが得られる.人間がトルクを発生した場合にも同様の原理である.製作したトルクセンサの設計仕様として,トルク測定範囲を-4[Nm]〜4[Nm],センサの可動域を±30[°]とした.この仕様値を満足するようスプリング剛性,プーリ直径を決定した.分解能はリニアエンコーダの分解能によって決定され理論上0.0014[Nm]である.従来のトルクセンサは,ひずみゲージ等で得られた微小な電気信号をアンプにより増幅するためS/N比が低く,微小なトルクを検出するためにはフィルタ等が必要であるが,開発したトルクセンサはそれらを用いることなく微小なトルクを検出できる点が特長である. センサ性能評価実験の結果より,開発したセンサは線形でヒステリシスもなくセンサとして良好な特性であることがわかった.また,周波数応答から約4[Hz]で共振しているが,1〜2[Hz]程度での駆動が予想される本装置に本センサは有効であることが明らかとなった.また,開発したトルクセンサを用いパワーアシスト制御の基本となるトルク制御系を構築し,実験的にその性能を評価しその有効性を確認した.
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