研究概要 |
魚ロボットは,海洋水産資源の調査や,発電所内パイプ内壁の損傷調査,水害による被災者発見などに役に立つと考えている.まず,実際の生きた魚の動きを十分観察した上で,それを模倣した魚ロボットを製作し,その魚ロボットに対して,消費電力を抑える方法について検討した.魚ロボットの製作にあたっては,胴体と尾鰭を一体とした本体に柔軟素材を選び,魚の筋肉を模擬した伸縮型のモータ・ストリング系アクチュエータ(モータと糸によって構成)を用いて胴体を屈曲させ,胴体と尾鰭を左右に振って推進させる構造にした.この構造では,実物の魚の背骨や筋肉に機能上よく似ているため,魚らしい遊泳が可能で,効率面でも有利であると考えた.遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて,モータ駆動のスケジュールを作成した.GAで得られた速度重視のスケジュールを用いることにより,高速化が実現でき,また,GAで得られた効率重視のスケジュールを用いることにより,電力消費が少ない遊泳を実現できた.GAの適用により,推進効率を向上させ,消費電力を極力少なくできることが判った. 魚の推進メカニズムの解明を目的として,生きた魚の代わりに,まずは市販の魚ロボットを用いて,尾鰭周りの水の流速分布を,粒子画像流速測定法(PIV)により調べた.また,高速度カメラにより取得した魚ロボットの動画をもとに,魚の形状と動作をディジタル化し,その情報に基づいて,数値流体力学(CFD)による流動解析をすることで,魚ロボットまわりの水の流動状態について調べた.その結果,魚ロボットが尾鰭後方に逆カルマン渦を発生していること,また,それによって水を後方へ押し出し,推進力を得ていることが確かめられた. また,マイクロ化に向けて,コントローラおよび電力源(固体高分子型燃料電池)を本体に搭載した小型魚ロボット(全長110ミリ)を試作した.そして,水槽中で遊泳可能であることを確認した.
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