研究課題
本研究は、液圧駆動型多自由度ロボット鉗子を製作して、申請者が提案したロバストなバイラテラル制御則を適用し、従来のロボット鉗子に比べて洗浄性がよく、軽量で、かつ操作性も優れた腹腔鏡外科手術用多自由度ロボット鉗子装置を構成することが目的である。今年度は、まず既に設計してある図面に従って液圧駆動型多自由度ロボット鉗子を製作し、開発した鉗子が外科手術用に実用化可能であるかどうかの検証を行った。また、制御系に関しては、昨年度までに申請者が提案している精密位置決め、力覚フィードバックなどの制御則を様々なメカニカルシステムに適用して有効性を検証した成果を、国際会議や日本機械学会論文集C編などで公表した。その結果、液圧を利用した多自由度ロボット鉗子において駆動系の鍵となる、液漏れがなく、摩擦も少ない超小型シリンジの開発を本学にある光造形機を用いて繰り返し製作したが、必要とされる精度が得られず、製作した液圧駆動型多自由度ロボット鉗子では、十分な操作性が得られなかった。そこで、右ネジと左ネジとユニバーサルジョイントにより構成される2本の屈曲リンクの回転操作により屈曲動作を実現する全方位駆動型の多自由度ロボット鉗子を考案し、プロトタイプを試作した。製作した多自由度ロボット鉗子は、屈曲駆動および把持部開閉にワイヤを使用せず、高剛性で屈曲範囲が広く、駆動部分も小型である。また、屈曲角度を0.05°の精度で操作できる。さらに、この鉗子に500gの物体を把持させ持ち上げる屈曲実験を行い、外科手術用鉗子として十分実用化可能であることを検証した。現在、この機構に関しては特許出願準備中である。しかしながら、ネジ部とユニバーサルジョイント屈曲部のクリアランスが累積してしまい、ガタが発生してしまった。そこで、屈曲部全長を短くすることで先端部でのガタを減少させることを考え、現在この機構を用いたプロトタイプ2号機の試作を行っている。既存のジョイスティックを改造したコントローラを製作し、遠隔操作も可能にした。次年度は力覚のフィードバックを伴うバイラテラル制御系を構成し、その操作性についての評価を行う。また、これまでに得られた成果について、まず国内の学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2006(ROBOMEC2006)にて発表を行う。さらに、海外の学会IASTED International Conference on ROBOTICS AND APPLICATIONS(RA2006)にも論文を投稿する予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
Proc.of the Fifth IASTED International Conference on Modelling, Simulation, and Optimization
計測自動制御学会 第48回 自動制御連合講演会
Proc.of 2005 CACS Automatic Control Conference
日本機会学会論文集C編 71・711
ページ: 3138-3145
Proc.of IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics
Proc.of IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics