研究概要 |
本研究では人間を離散事象的な判断と連続時間系の連続的な動作が混在する系として捕らえた新しい人間の行動モデルを提案し,ハイブリッドダイナミカルシステム論的に人間のロボット操作情報や周辺環境情報から構造の把握が容易な形での人間の行動モデル構築手法の確立とそのロボット制御系設計への応用を目指している。 本年度は,昨年までの研究で構築可能となったハイブリッドダイナミカルシステムをベースとした人間行動モデルを用いて,人間-機械協調型ロボットシステムの制御系設計を行うことを検討した。人間行動モデルを用いた制御系の設計として,具体的には可変インピーダンス制御系をその対象とし,制御系のインピーダンスパラメータを人間行動モデルを用いて設計することを考えた。これまでは人間の行動に着目していたため人間行動モデルをPWAモデルを用いて表現していたが,設計への応用を容易にするためにPWARXモデルを用いることにした。この人間行動モデルと,設定したパラメータを持つハイブリッドインピーダンス制御モデルを組み合わせシステム全体の応答を計算し,設計するインピーダンスパラメータの評価を行った。その評価には平均の作業時間と作業者の力積の関数となる評価関数を用いた。その評価結果より最適と判断されたインピーダンスパラメータと,実際に人間行動モデルに対応する被験者に実験を行ってもらい,実験結果から最適と判断されたインピーダンスパラメータは概ねの被験者でほぼ一致することが確認され,提案する人間行動モデルを用いた制御系設計が有効であることが確認された。
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