本研究は物体のセンサレスマニピュレーションに関するものであり、把持物体の掴みや操りといった制御方法を物体の事前情報や外界センサをいかに少なく抑えながら行うかの研究を行っている。まず2次元水平面内にある直方体物体に関する安定把持・相対的な姿勢制御・相対的な位置制御に関する研究をまとめた。ここでは、直方体をつまむ場合はどのような安定把持集合に陥るのか、さらに物体情報無しで姿勢角を制御するには相対的な方法しかなく、さらに近似的な方法なら位置も制御可能であることを理論的に示し、シミュレーションおよび実験により検証した。 また水平面内にある円形物体に対して物体情報を用いなくても制御を行えることを示した。円形物体は直方体で用いられた制御方法に加え、指先に生じる回転モーメントを打ち消すための付加項が必要となるが、この付加項はリグレッサを用いることにより物体情報を用いずとも安定把持できることを理論的に示した。また円形物体の姿勢制御は把持物体の直径に依存して転がり距離が変わるためにセンサレスマニピュレーションでは、近似的な姿勢制御しか行えないことを示した。これらの結果をシミュレーションおよび、実験にて検証した。次に2次元重力下でも多面体は把持できることを理論的に検証した。重力下では指の重力補償が必要となるため、指の質量情報を新たに必要とするが、物体のほうはリグレッサにより推定可能であることが分かった。またこれらの結果をシミュレーションおよび実験にて検証した。
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