研究概要 |
研究計画に基づき研究を行い,以下のような結果を得た. 1.装置の改良 実験装置に水平方向のアクチュエータを導入する場合に,必要となる変位量などを較正するために,レーザー光てこを使用した二次元の変位センサを製作した.これを用いて,レーザー光干渉による変位量との較正を行う予定である. 2.外部振動の除去 微小なカンティレバー触針の振動に混入する外部振動の影響のために,20nm以下の振動の測定が困難であったが,特定の振動の減衰に効果的と考えられるアクティブ制御の除振台を導入した.除振台の上面の面積が限られているため,実験装置の配置方法などを工夫したところ,除振台を使用せずに,外部振動の影響の低減効果が得られた.原因は不明であるが,アクティブ除振台を使用することでさらに外部振動の影響を低減できるものと考えられる. 3.画像処理ソフトウェアの改良 カンティレバーのたわみ・ねじれに対応したプログラムを作成した.今後検証と改良を進める予定である. 4.伸び方向の振動特性の測定実験 液体潤滑剤を塗布した磁気ディスク表面と接触させたダイヤモンド触針を引き上げ,潤滑剤による液架橋を維持したまま,液架橋を多段駆動により減衰振動させ,潤滑剤の初期膜厚と分子量を変化させて,液架橋の減衰係数とばね定数を測定した.液架橋が破断するまで引き上げる実験を行ったことで,破断の前の特徴的な現象を連続的に測定することに成功した.また,カンティレバーの過渡振動から,凝着力を直接求める動的凝着力モデルを導入し,膜厚依存性と速度依存性を測定した.動的凝着力モデルは従来モデルでは困難であった分離直後と破断直前の非線形性の強い領域についても,凝着力の変化を連続的に求めることができることを確認した.また,接触力は膜が厚いと大きくなり,液架橋のばね定数の絶対値が速度の増大につれて微増することを確認した.
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