研究概要 |
本年度は、ポッケルス素子による真空中における絶縁物上の帯電電位分布測定の高速度化とそれに伴う光学系の再構築を行った。また、本改良によって絶縁体上の電位測定系の校正を行い、これまでの測定系とほぼ同等の感度を有することを確認した。この改良によって、これまでは2msec毎の帯電電位測定であったものが、20倍の100μsec毎の測定が可能となった。これにより、2次電子電流測定の際の電子ビーム照射による帯電過程の現象が計測できる程度の撮影速度を得ることができた。また、高速度ビデオカメラのAD変換による濃度階調が8bitから10bitに拡張したことによって、帯電電位の測定分解能が、これまでは約30V/bitであったものが、8V/bitに下げることができ、より高精度の帯電測定が可能になった。また、これまでの帯電測定系の改良として、帯電測定の際ノイズ源となっている光学系のノイズの低減を試みた。光学ノイズの原因は、主に真空チャンバのガラス窓における多重反射が原因であり、真空チャンバのガラス窓を反射防止膜付きのものと交換することで、ノイズの低減ができた。 絶縁体からの2次電子電流測定系の構築においては、現在、真空チャンバおよび電子ビーム系・ファラデーカップの設計・組立中であり、現段階では未だ2次電子電流の測定までには至っておらず、実験装置の改良中である。来年度は,先ず2次電子電流測定系を構築し、絶縁体からの2次電子電流測定を行う。
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