研究概要 |
本研究の目的は,用途に応じて多品種少量生産され,ユーザ最終製品に最適な用途指向型モータとして普及しつつあるBLACMを対象に,半導体パワーデバイス内蔵集積電流センサを利用し,半導体メーカから与えられたMCU演算能力資源の効率的利用による低コスト化を実現する用途指向形低コスト位置センサレスブラシレスACモータドライブの最適システム設計論の確立である。具体的には,申請者が既に提案の低コストを約束する位置センサレス制御方式の適用を前提とし,車載用スタータ/ジェネレータを対象に,ユーザ最終製品の要求仕様(速度-トルク曲線,高効率動作点,可変速応答仕様,負荷変動特性,電源電圧,変換器電流容量など)を満足する用途指向形BLACMドライブシステムの最適設計法の確立を目指し,平成17年度は以下の研究実績を得ている。 提案位置センサレス制御アルゴリズムの中核をなす(1)位置補正アルゴリズム,(2)負荷推定アルゴリズムの用途の要求性能仕様に対する安定動作保証判別基準として,負荷推定臨界点なる物理定数が有用であることを明らかにした。負荷推定臨界点は,ある運転動作条件の下,機器定数によって一意に決まることを示し,MATLAB/SIMULINK上に構築した位置センサレスシミュレータによる多数の計算機仮想実験を重ねて,負荷推定臨界点が安定動作条件を支配することを確認し,実験値との比較検証を通じて,負荷推定臨界点による安定動作判別の妥当性を示した。さらに,用途の要求仕様を入力に,安定動作を保証するモータ機器定数の組み合わせと範囲を短時間で可視的に決定する方策として,簡易シミュレータによる手法を提案した。
|