研究概要 |
マルチトーチプラズマアークは、超高温・高輝度という特徴を持ち、年々増加する医療廃棄物の高効率処理への応用が期待されている。本研究では、このマルチトーチプラズマアークの電極ノズル角度を変化させることにより、超高温・高輝度領域拡大を図り、その最適化角度を検討することを目的とし研究を行っている。 本研究の初年度ある今年度は、下記の4点に関し研究を行った。 (1)高周波電源を用いず20kW級マルチトーチプラズマを直接発弧発生することが可能な電極ノズルの設計、及び、電極角度を可変可能なチャンバーの設計・製作を行った。チャンバーは、30度毎可変型と45度毎可変型の2シリーズのフランジ群を設計・制作した。また、観察窓を設けることで、プラズマ診断を簡便に出来るようにした。 (2)電極ノズルの設計のために必要な基礎データを得るために、高温気体の熱力学輸送特性や波長別放射特性などを計算すると共に、プラズマアークの温度・放射分布に関しモデリングを行い、温度と放射パワーとの関係に関し調査を行った。特に、波長別放射特性に関しては、あまり検討されなかったバイバーマンファクターと吸収に関し検討を行い、紫外線領域における精度の高い計算を行った。モデリングに関しては、熱力学輸送特性や放射計算のデータを基に計算を行い、プラズマアークの受熱や紫外線の効果について知見を得た。 (3)アルゴンを用いた20kW級シングル、ツイントーチ、マルチの各トーチプラズマアークを発生させ、二次元温度分布を分光器により算定した。プラズマ温度は、マルチトーチが一番高く18,000Kとなった。また、各トーチの受熱量の実測も行い、ジュール発熱が小さいと考えられるツインやマルチトーチであっても、医療廃棄物処理を行うことが可能であるということの知見を得た。 (4)プラズマアークの姿態解析を画像処理により行う手法を開発すると共に、電圧、受熱量、ローレンツカの検討を行った。ローレンツカによりアーク姿態が変形することについて知見を得た。 これら成果は査読付論文誌に5編採録されると共に、約20件の国内・国際会議にて発表・討論を行った。
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