マルチトーチプラズマアークは、超高温・高輝度という特徴を持ち、年々増加する医療廃棄物の高効率処理への応用が期待されている。本研究では、このマルチトーチプラズマアークの電極ノズル角度を変化させることにより、超高温・高輝度領域拡大を図り、その最適化角度を検討することを目的とし研究を行った。 本研究の最終年度ある今年度は、下記の3点に関し研究を行った。 (1)昨年、一昨年度に設計・製作した20kW級マルチトーチプラズマに関する計測系の充実を図った。具体的には、LabVIEWを導入し、電圧、電流、受熱の計測環境を整えた。この結果、電極ノズル角度と受熱量や受熱効率の関係を把握することができ、ノズル角度が60度の場合が、入力に対する受熱効率が最も高くなる知見を得た。 (2)昨年度に引き続き、電極ノズルの設計のために必要な基礎データを得るために、高温気体の熱力学輸送特性や波長別放射特性などを計算すると共に、180度対向ツイントーチプラズマアークの温度・放射分布に関しモデリングを行い、実験とモデリングとの比較を行った。特に、重力や浮力の影響についての考察を行った。結果として、重力や浮力が温度・放射分布に対し影響が大きいことが示唆された。また、プラズマアークに混入される鉄蒸気の影響に関しても解析を行い、温度・放射分布に多大な影響を与えるとの知見を得た。 (3)プラズマアークの姿態解析を画像処理により行う手法をさらに改良し、電圧や受熱量とローレンツカの関係に関する検討を行った。ローレンツカによりアークが変形し、その変形具合が電圧や受熱量に大きく影響することについての知見を得た。 これら成果は、査読付論文誌に1件掲載された。また、現在、1編投稿中であり、来年度の採録が決定している。なお、国内・国際会議にて5件の発表・討論を行った。
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