ナノフィラーとして選択したSiO_2をエポキシ樹脂に混合し、酸無水物系硬化剤、およびアミン触媒を添加して低熱膨張性の熱硬化性樹脂組成物を調製した。主な組成を以下に示す。 1.エポキシ:30%、粒径500nmのSiO_2フィラー:70% 2.エポキシ:50-60%、粒径50nm以下のSiO_2フィラー:40-50% 3.シリコーン変性エポキシ60%、粒径100-3000nmのSiO_2フィラー:60% いずれの場合も樹脂に対して60-70%の硬化剤、1phrの触媒を使用した。これらをSiウェーハ上に塗布し、100-180℃で1-2時間硬化し、発生した反りの量をSurface profilerを用いて測定した。塗布膜厚は10-50μmである。 その結果、フィラーを含まないエポキシ樹脂と比較して、ナノフィラーを含むエポキシ樹脂から発生した反り量は少ないことが判明した。少ない方から順に、3の1μm以上の粒径を有するフィラーを含むシリコーン変性エポキシ樹脂、2の極めて粒径の小さいフィラーを含むエポキシ樹脂、1の比較的粒径の大きいフィラーを含むエポキシ樹脂であった。このことから、発生する反り量は樹脂の分子構造に強く影響し、粒径には大きく依存しないことが判明した。 一方、次世代集積回路として期待されている三次元集積回路のウェーハ間の狭ギャップ(約4μm)に樹脂を充填して接合強度を高めるには、ナノフィラーを含む樹脂を注入する必要がある。したがって、使用する樹脂に混合するフィラーの粒径は100nm以下が望ましい。本研究で用いたフィラーの中で最も小さい粒径を示すのは、ゾル-ゲル法で作製した2のSiO_2である。今後、シリコーン変性エポキシ樹脂に粒径50nm以下のフィラーを混合して耐熱性の低反り樹脂の創製を推進するとともに、これを三次元集積回路のチップ間接合に応用し、高速動作が可能な省電力チップの試作に努める。
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