研究課題
[目的]本研究では、走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いてSiGe系ヘテロ構造やデバイス構造をナノスケールで評価することを目的としている。各微小領域におけるポテンシャルプロファイリングの実現を目差し、キャリア濃度・ポテンシャルについてナノメートルの空間分解能でプロファイリングを行う。[実績]1.走査型トンネル顕微鏡(STM)装置の改良ヘテロ構造領域など評価する位置へSTM探針を移動させるための試料面内移動機構として、アクチュエータ付き断面観察用ホルダの設計および部品製作を行った。2.Si/SiGeヘテロ構造の作製および評価Si基板上に多層Si/SiGeヘテロ構造(Si層:30nm、SiGe層:100-200nm)を分子線エピタキシャル法により作製した。断面から評価するために断面を鏡面研磨し、洗浄および熱硫酸による化学酸化膜形成後、断面を水素終端し超高真空中でSTM測定を行った。STMトポグラフ像においてSi領域とSiGe領域が明瞭に区別でき、測定バイアス電圧依存性により、STM像での違いが電気的性質に因ることを確認した。さらにトンネル電流-電圧特性を観察領域内でマッピングした結果、Si/SiGeヘテロ接合におけるバンドアライメントをよく反映した特性の分布が見られた。マッピング結果より、電気的特性に関しての空間分解能は3nmを超えるものだと推定できた。以上より、本手法はSi/SiGe系微細デバイス構造でのポテンシャルプロファイリングに適用可能であることが明らかとなった。
すべて 2007
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Journal of Vacuum Science & Technology B Vol. 25, No. 1
ページ: 29-32