研究概要 |
1.高熱伝導・電気絶縁性を目指したエポキシ・ナノコンポジットの独自創製 ナノ粒子高速分散機一式を新規導入し、入手した市販の汎用エポキシ樹脂および高熱伝導ナノフィラー(今回は、ベーマイトアルミナを使用)を混合して、ナノコンポジット試料を独自創製した。比較対象として、無添加エポキシ樹脂およびマイクロフィラーを添加したマイクロコンポジットを作製した。創製した材料は、板状(1mm厚)、および、電気トリーイング現象評価のための電気トリー電極形状(針-平板電極系、針(鉄製、直径1mm、先端極率半径5μm)、針-平板電極間のギャップ3mm)に成型した。走査型電子顕微鏡を用いてナノフィラーの分散状況を確認した。 2.創製したエポキシ・ナノコンポジットの電気的・熱的特性の評価 電気的特性として、電気トリーイング破壊時間を評価した。ワイブル分析結果より、短時間の電気トリー(30kVrms印加、針先端最大電界=約2,000kV/mm)による絶縁破壊時間はナノフィラー5wt%添加で265%向上することがわかった。また、シランカップリング剤(トリメトキシビニルシラン)が前処理されたナノフィラーが5wt%添加されることで破壊時間が更に向上することが明らかになった。 熱的特性として、最重要目的である熱伝導率を評価した。ベース樹脂の熱伝導率の0.20W/m/Kから、ナノフィラーを10wt%添加しただけで0.23W/m/Kに向上することがわかった。 3.次世代の高熱伝導・電気絶縁性ポリマー材料の適用提言 開発したエポキシ・ナノコンポジットを利用した高電界絶縁設計の可能性を模索した。ナノコンポジット化により樹脂の高熱伝導化を図るには、従来のマイクロフィラー高充填と同様にナノフィラー高充填が必須であることがわかった。
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