研究課題
本研究では、来るべきユビキタス社会に向けたLSIシステムの基盤技術の確立を目指す。特に、MOSFETのサブスレッショルド領域動作を年頭においた回路設計手法の確立、新規LSIアーキテクチャの開発、そして応用システムの開拓を行う。以下に、本研究の概要を述べる。<電源回路>MOSFETのサブスレッショルド領域特性は、温度に対して敏感に変化する。従って、この動作領域を前提としたシステムを構築する場合には、安定動作を保証する為の基準電流回路等の各種リファレンス回路が必須となる。そこで、本研究では、温度に対して、また電源電圧の変化に対して、そのリファレンス変動率が小さな電源回路の開発を行った。シミュレーションにより、提案した電流源回路の動作を検証し、室温で電流値97.7nA、電力値1.1μWで動作することを確認した。また、その温度に対する変動率は-20〜100℃で4%以内に抑えることができることを確認した。<CMOSセンサアプリケーション>MOSFETのサブスレッショルド電流の温度依存性は、「食品や医薬品等の劣化速度の温度依存性」と相似の関係にある。これを利用し、食品等の貯蔵・輸送・配達の過程における品質劣化を模擬・監視するセンサシステムをCMOSハードウェア上に構築することができる。そこで、本研究では、MOSFETのサブスレッショルド領域特性を有効に利用し、アナログ・ディジタル混載構成とすることにより広範囲の活性化エネルギーを設定できるCMOSセンサ回路を提案した。提案回路では、大きな活性化エネルギーに対応するため、リング発振器を用いて劣化を模擬するアナログ値をディジタル変換し、それを乗算器で累乗する回路構成とした。これにより、サブスレッショルド領域で動作させるアナログ回路だけでは上限のあった大きな活性化エネルギーに対応可能となった。
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