研究課題
本研究は、近い将来に実現されるユビキタス情報環境社会に向けたスマートセンサLSIシステムの基盤回路技術の構築を目指したものである。LSIの基本構成要素であるMOSFETをサブスレッショルド領域で動作させることで極低消費電力で回路システムを構築し、新規LSIアーキテクチャの開発、そして応用システムの開拓を行った。以下に、本研究実績の概要を述べる。<要素回路技術の構築>MOSFETをサブスレッショルド領域で動作させ、アナログ・ディジタル集積回路を構築するための基本的な要素回路技術の検討を行った。基準電流を生成するリファレンス回路の検討を行い、出力電流100nA(消費電力1.1uW)のリファレンスを生成することが可能である見通しを得た。また、電源電圧を高効率で降圧するDC-DCコンバータの検討を行った。1.5Vの外部電源を82%の高効率で分圧可能である見通しを得た。サブスレッショルド領域で動作するディジタル回路の基礎検討として、加算器の検討を行った。CMOS型、およびNMOSの2通りの加算器を検討し、電力と速度の間にトレードオフの関係が存在することを明確化した。<CMOSセンサアプリケーション>CMOSセンサアプリケーションとして、遠赤外線センサへの応用、ならびに品質保証期限モニタセンサの検討を行った。遠赤外線センサについては、サブスレッショルド領域のMOSFETの温度敏感性を利用することで、既存のセンサデバイス(ボロメータ等)と同等の温度検出感度を実現可能である見通しを得た。この技術をまとめ、特許申請を行った。また、品質保証期限もモニタセンサについては、適応可能な製品・商品の拡大を目指し、活性化エネルギーの拡大を行った。ディジタル回路技術を応用することにより、広範囲の活性化エネルギーの模擬が可能となることを示した。試作LSIを測定し、解析どおりの結果を得ることができ、様々な製品・商品の品質保証が可能である見通しを得た。
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