研究課題
将来、人工的な触覚代行システムや人々の生活で利用されるロボットが実現されるためには、人間の中で最も敏感な触覚を有する指先に匹敵する性能の触覚センサ開発が重要である。本研究では、シリコンが有する高密度集積化と知能化処理の特徴を活かし、対象の「接触形状」、「温度分布」、「接触冷温感」、「すべり」、「硬さ」等の静的・動的情報を含めた総合的触覚情報を検知可能な機能集積型触覚イメージセンサを実現することを目指している。本年度は、接触面のロバスト性向上に向けた表面保護の検討、ならびに、動的触覚機能の集積化実現に重点を置いて、研究を実施した。1.接触面のロバスト性向上に向けた表面保護の検討本研究の触覚センサは、ロボットの指先等に用いられる際、直接に測定対象に接して様々な情報を検知することを想定している。そのため、触覚センサの表面は、接触に対する十分な強度と高感度センサとしての性能を両立する必要がある。今回、本研究ではシリコン薄膜そのものを接触面とする新しい構造を提案し、その試作素子を形成するための新しい製作技術を確立した。その結果、センサの接触面表面の接触耐性を極めて向上することができ、#120の紙ヤスリでもセンサが破壊しない構造を実現することができた。本研究成果は、2007年6月にリヨンで開催され、本分野で最大の会議であるTransducersO7にて口頭発表される。2.動的触覚機能の集積化実現本研究は、人間の指先のように様々な触覚をシリコン集積化技術で実現することを目指しており、そこには接触対象の固さの情報も含まれる。固さを検出するためには、接触表面を対象に対して移動して測定する必要があり、いわゆる能動知覚の原理を導入する必要があった。そこで本研究では、ダイヤフラム表面を圧力振動によって微弱振幅で加振し、それに対する対象の振動応答から固さを測定する原理を集積化した。微弱な振動に対する対象からの反発振動は、測定対象の固さが増加するにつれて同じく増大する。この技術を用いて、柔軟なシリコンゴムからプラスチックまでの固さの違う対象物を見分けることに成功した。以上の結果より、当該年度の研究目標は十分に達成できたものと考えられる。研究の成果は第10回システムLSIワークショップ(06年11/27-11/29、北九州市)においてIEEEシステムLSIデザイン賞を受賞した。
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Sensors and Materials (In print)
IEEE Transactions on Components and Packaging Technologies (In print)
IEEE Transactions on Electron Devices Vol. 53, No. 5
ページ: 1250-1259
第10回システムLSIワークショップ,(06年11/27-11/29、北九州市)
ページ: 283-286
Asia-Pacific Conference of Transducers and Micro-Nano Technology (APCOT 2006), Singapore, 25-28 June Vol. 1
ページ: 146
ページ: 145