研究概要 |
1.シリコン触覚センサにおける素子実装技術の開発 実際の使用環境下においては,触覚センサの検出表面が対象物表面に最初に接触する必要があり,チップから取り出すリード配線も邪魔になってはならない。本年度においては,接触面となるLSI裏面が最前面となる新しい触覚センサのパッケージ構造を設計し,それをPCB作製装置によって製作した。新規のパッケージ構造により,ロボットフィンガへの実装を想定した測定実験を行うことができるようになった。その結果,高い空間分解能と検出感度を有しながらも,実際の触動作実験に耐えるロバスト性を両立することのできる新しいシリコン触覚センサの基本構造を完成することができた。 2.能動知覚(アクティブセンシング)特性の評価 触覚情報は空間内で局在的なものであり,三次元物体の表面形状を知覚するには,ロボットハンドやフィンガの移動と組み合わせた能動知覚が重要となる。本年度に開発した新しい素子実装方法を用いることで,能動触動作による物体表面の三次元計測を行なうことが可能となった。実際に,開発した触覚センサを用いて,アルミニウム板上の点字を直接接触しながら,正確にその三次元表面形状を読み取る実験に初めて成功することができた。従来からある点字凹凸の時間波形検知ではなく,本センサにおいては,二次元センサアレイによる点字表面形状の3次元画像化ができたことで,ヒ卜の指先機能を目指した触覚センサの機能・性能を大幅に向上させることに成功したといえる。
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