研究概要 |
今期は、2元低密度行列を利用したメッセージ認証方式の開発とその性能解析、ならびに低密度行列に関する平均コセット重み分布の理論的導出を行った。低密度行列に基づくメッセージ認証方式は、通信路上で生じうるメッセージの改ざんを検出することを目標とした方式である。既存の方式と比較して、比較的容易に符号化が可能であるという特徴を持つ。重み分布解析の手法を利用して改ざんを見逃す確率の評価を行い、安全に関する検討についても行った。パラメータを適切に選択することにより、実用上十分な安全性が確保されることを示した。この結果について、情報理論分野の国際会議であるInternational Symposium on Information Theoryにおいて発表を行っている。 上記の研究と平行して、平均コセット重み分布の導出に関する理論的な研究も進めた。特に、異なる2つの低密度行列アンサンブルを組み合わせて得られる複合型アンサンブルのコセット重み分布に関する公式を導出した。この成果は、高い性能を持つことで知られるマルチエッジ型アンサンブルの平均重み分布を与える基礎となることが明らかとなっている。この成果は、2005 Hawaii, IEICE, SITA Joint Conference on Information Theoryにおいて発表を行っている。
|