研究概要 |
コンテンツが消費・制作・流通の過程を繰り返し循環し利活用されるというコンテンツ循環におけるDRMの課題を検討し,そこでの自動的な権利の継承と管理を矛盾無く永続的に行うための権利継承管理手法とその継承制御条件の記述表現手法の検討を行った.前者の検討の結果,コンテンツ循環におけるDRMでは,一般の利用者が改編などにより制作し発信する二次コンテンツを含めたコンテンツの制作と流通に対するDRM環境を整備することと、コンテンツ循環により生じる権利循環に対して各権利者の意図に矛盾のない権利管理制御を実現することが、技術的課題として挙げられた. 後者の検討では,各コンテンツの権利者が、コンテンツの利用条件と共に継承に関する条件を予めライセンスとして定めておき、それらと二次コンテンツの制作者が定めるライセンスに基づいて権利継承処理を行う手法を考案した。本手法は、素材として使用したコンテンツの権利者の権利だけでなく、二次コンテンツの制作者の権利も尊重し、両権利者の意図を遵守した権利継承を可能にしている。また、権利の継承方法を定める条件自体の継承処理も行うことで、二次コンテンツ以降の流通に対する権利継承の自動制御処理をできるようにしている。継承制御条件の記述表現の検討では、国際標準化規格ISO/IEC21000-5(Multimedia framework(MPEG-21)---Part 5:Rights Expression Language)を拡張する形で、権利継承管理制御に必要となる条件の記述表現方式を考案した。この結果、権利継承処理における他の権利者が定める条件へのNarrowing処理の可否や、権利循環時に望む制御方法の記述表現を可能にした。また、これに基づく制御を実行する権利継承システムを設計し、プロトタイプシステムを構築した実証実験に向けて準備を始めた。
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