研究概要 |
研究代表者は,以前よりZCZ系列の構成方法に関する研究に従事しており,2004年3月には新しいZCZ系列構成法をIEEE Trans.Information Theoryに発表している.提案した構成法では.直交系列とユニタリ行列を使用して再帰的にZCZ系列を構成することが出来る.この構成法は,系列の位相に関係なく適用可能であるが,特に4相ZCZ系列に適用した場合,従来知られていたものよりも長い零相関範囲を持つものが構成可能となる点において,大きな意義を持っていた.しかし,この構成法では,直交系列とユニタリ行列の組合せが限定されるため,構成可能な系列の周期がある程度限定されてしまうという欠点が存在している.また,近似同期CDMAへの応用を考えた場合,全ての系列間の相関関数において零相関関数が対等であるよりも,系列の組み合わせによって零相関範囲が異なるほうが望ましい場合もある.しかし,提案した構成法では,そのような系列設計を行うことは困難であった.このような状況を鑑み,本研究では,より柔軟な系列設計が可能となるように,提案したZCZ系列構成法を大幅に拡張することを目的としている.本年度の成果としては,先ず、直交系列とユニタリ行列の組合せの限定条件を緩和する事が可能となるような拡張方法を得ることに成功した.例えば,系列数16の4相ZCZ系列を考えた場合,以前の構成法では,周期が256,4096,65536などの系列しか得られなかったが,得られた拡張方法を用いれば,これ以外にも512,1024,2048,8192,16384,32768などの周期を持つ系列を得ることが可能となる.これにより,ZCZ系列設計における柔軟性が大幅に増す事となった.また,この拡張方法をさらに発展させることにより,零相関関数が対等でないようなZCZ系列を構成することが出来るようになる見通しを得ている.
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