研究概要 |
(32,21,6)・(64,45,8)Extended BCH(EBCH)符号の二つの線形ブロック符号の最小重み符号語の構造の解析を行った。Reed-Muller(RM)符号の最小重み符号語は、構造がシンプルであり、その構造を利用した効率的な最小重み探索が可能である。しかしながら、一般的にEBCH符号の最小重み符号語集合の詳細な構造は知られていない。それは、EBCH符号の最小重み符号語集合の構造がそれほどシンプルではないからである。そこで、我々は、符号長32、64のEBCH符号の中から比較的レートの高く典型的な例として(32,21,6)・(64,45,8)EBCH符号を選択し、ブール多項式表現を用いて構造の解析を行った。これまで、EBCH符号に対しては、フルトレリスダイアグラムの状態数・枝数の構造の解析の研究が行われてきた。また、フルトレリスから、最小重み符号語あるいは二番目の重みの符号語に関係しない状態や枝を取り除いて得られる最小重み及び二番目の重みの部分トレリスを左右に二分割した際に生じる分割重み構造によるクラス分けの研究が行われてきた。本研究では、これらの研究に基づいて、選択した二つのEBCH符号の最小重み符号語の集合に対して、分割重み構造のクラス分けを行い、左右のセクションの分割重みの各クラスに対して、ブール多項式表現の標準形を求めた。(32,21,6)・(64,45,8)EBCH符号には、(32,16,8)RM⊂(32,21,6)EBCH⊂(32,26,4)RM及び、(64,42,8)RM⊂(64,45,8)EBCH⊂(64,57,4)RMのようなRM符号との間に包含関係があり、この関係を利用してそれぞれの符号をRM符号でコセット展開する。そして、RM符号はアフィン変換で不変、EBCH符号はバイナリーシフトで不変という性質があり、その部分符号である最小重み符号語も当然のことながら、それらの置換で不変の性質を有する。これらの具体的な置換による分類と計算機による探索によりこれらの対象符号の最小重み符号語の構造を明らかにすることができた。
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