研究概要 |
本年度の主な活動内容は,試作の終了している脚モジュールを動作させて性能を評価することで脚モジュールの量産と既存モジュールの改良を行う,いわば「ものづくり」であった.本年行った実験を通して基本的な脚モジュールの制御に必要なプログラムは完成し,モジュール間通信を用いたもっとも基本的な動作の確認まで行えた.そしてこの内容をロボット学会の学術講演会にて発表した.また,その実験中にハードウェア面での改良すべき点がいくつか見つかったため,それに基づいて既存モジュールに改良を加えると同時にそれらの点を踏まえた量産型モジュールの製作に着手し,これらを完成させた.これと並行して分散制御系に適した歩容生成アルゴリズムを提案し,シミュレーションによりその有効性を確認した.このシミュレーション結果は,提案手法を用いた歩容生成によって,分散制御系の利点である系の規模の拡縮性高さや運用形態の多様性を阻害することなく,各モジュールが分散的に行動を決定することでシステムの制御負荷軽減に貢献しつつも,全体として調和の取れた多様な運動を実現することが可能であること示している.この内容については現在ロボット学会論文誌に投稿中である.ここで得られた知見は多脚歩行系の歩容生成以外にも,より大規模なシステムへの拡張の可能性も示唆しており,次年度の研究予定として掲げた内容へとつながる. 次年度にはこの改良型モジュールと量産型モジュールの両方に,今年度培った制御プログラムのノウハウを用いて提案手法を実装することで速やかに実験を行い,実機による提案手法の有効性を確認するとともに,提案手法を拡張することで他の大規模システムへの応用を試みる予定である.
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