研究概要 |
本研究の目的は、「タイヤがスリップを起こしやすい路面において、作業用マニピュレータを装備した複数の移動ロボットが、衝突せずに作業を達成するためのアルゴリズム」を構築し、その実験検証を行うことである。本年度はこのテーマに関連して、以下のような結果を得ることができた。 1.ロボットの作業用マニピュレータの部分を障害物環境下で自由に動作させるために、その軌道追従法についての検討を行った。本研究では、まず、既存の障害物回避法と軌道追従法の単純な組み合わせでは、目標軌道の取り方によってマニピュレータは障害物に衝突する可能性があることを示した。このような問題を解決するために、軌道をパラメータ表示し、それを適切に動かすことで障害物への衝突を避ける手法を提案した。さらにマニピュレータの実験機を作成し、実験によってその有効性を確認した。 2.マニピュレータのない複数の移動ロボットが互いに衝突を回避しながら、与えられた目標軌道を追従するため手法について検討した。本研究では、操作者のミスによってロボット同士を衝突させる危険な軌道が与えられたときに、軌道同士を離す滑らかな写像を用いて目標軌道を適切に修正する手法を提案した。特に、よりよい衝突回避を集合の大きさによって評価することを考え、この意味で性能のよい衝突回避法をロボット同士の角度の関係を使用した新しい写像を用いることで提案した。この結果,従来法よりも自然な衝突回避を行うことをシミュレーションによって確認した。 今後は、2.を実験によって確認する。さらに、これらの手法を組み合わせることで研究目的を達成し、複数台のマニピュレータ搭載の作業用ロボットを協調させた部品の組立ての実験を行う予定である。
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