研究課題
近年、医療技術の発達に伴って、患者の体に開けた小さな穴から内視鏡カメラと手術器具を体内に挿入して外科的措置を行う内視鏡手術が普及してきている。本研究の目的は、「内視鏡手術における内視鏡カメラ操作のロボットによる完全自動化(自律型内視鏡位置決めロボットの開発)」である。この目的を実現するため、本研究では、術者と内視鏡位置決めロボットを一体化した1つのハンドアイシステムととらえ、視覚サーボの観点から内視鏡位置決め問題を考える。本年度(第1年次)は、その第1段階として、「小型軽量内視鏡把持マニピュレータ(自律型内視鏡位置決めロボットシステムのハードウェア部分)」の開発を重点的に行った(ソフトウェア部分は第2年次に開発予定)。以下に本年度の成果概要と本研究の新規性・有効性についてまとめる。【成果概要】一般の病院に普及している「斜視鏡」の光学的特性を積極的に利用することで、従来システムよりも小型軽量(約860グラム、従来比:数10分の1以下)の内視鏡位置決めロボットの開発に成功した。【新規性】一般に、内視鏡は、レンズ系の「鏡筒部分」とCCD素子が配置されている「カメラヘッド」から構成される。現存する内視鏡把持マニピュレータは、内視鏡(鏡筒とカメラヘッド)全体を1つの剛体とみなして位置決めを行うタイプであるのに対して、本研究では、斜視鏡の光学的特性に着目し、「鏡筒部分のカメラヘッドに対する相対姿勢を制御する機構」を導入することにより、内視鏡全体の位置決めを行うための機構を簡単化することに成功した。鏡筒の回転だけを独立に制御する方式ならびに鏡筒の回転を利用した内視鏡視野展開方式は現存せず、一極めて独創的である。【有効性】本システムを用いて、術者1人による生体(ブタ)の腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施した(ただし、内視鏡操作は従来の非自律型のインタフェースで行った)。その結果、手術は無事完遂し、本年度に開発した内視鏡位置決めシステムのハードウェア部の有効性を示すことができた。
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CARS2006, Computer Assisted Radiology and Surgery (印刷中)
日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2005講演論文集
ページ: 2P1-N-118
ページ: 2P1-N-126
第14回日本コンピュータ外科学会大会論文集
ページ: 233-234