研究概要 |
本研究は,「深層混合処理工法により改良された地盤からのCa溶脱に伴う劣化に関する研究」と題し,改良地盤からのCa溶脱に伴う劣化の長期予測手法,およびセメント系材料に対する電気化学的促進試験の適用に関する検討を行った.さらに,上記より得られた結果を用いて,配合および粘土種類が改良地盤からのCa溶脱に及ぼす影響に関して検討した.以下に本研究で得られた結論を示す. (1)共存イオンの影響を考慮したイオン移動式,周辺粘土でのCa吸着モデル,Ca水和物の固液平衡モデルおよび炭酸化モデルを組み合わせることにより,改良地盤からのCa溶脱に関する予測手法を構築できた. (2)既報の改良地盤からのCa溶脱に関する調査結果と予測結果を比較することにより,Ca吸着と炭酸化を解析に組込むことで,改良地盤におけるCa溶脱現象がよりよく説明できることが示され,本予測手法の実用的価値が確認された. (3)本手法の妥当性が確認できた.特に,(1)周辺粘土の吸着特性,(2)周辺粘土の初期含水比,(3)改良地盤の初期空隙比等がCa溶脱の進行速度に影響を及ぼすことが示唆された. (4)上記の手法と電気化学的劣化促進試験から得られるCa含有率と一軸圧縮強度の関係からCa溶脱に伴う強度劣化予測が可能となった.また、本予測手法により、20年間供用された改良地盤におけるCa溶脱による強度劣化を定量的に表現できることが確認された。さらに、改良地盤の長期供用を考えた場合Ca溶脱に対する対策が必要であることが示唆された。
|