研究概要 |
本年度は新たな乱流モデル開発のためのベースとなるデータの取得を目的として,圧力測定システムを構築し気流および圧力測定実験を行った.具体的には,模型のスパン方向中央部に圧力孔を開けた正方形角柱模型を2本タンデム配置し,その表面圧力および周辺流速の測定を行った.圧力測定には32CH同時差圧式圧力センサーを用い,流速測定にはX型プローブ熱線流速計を用いた。またLabVIEWによりデータの取得,解析システムを構築した. まず始めに模型を単独で配置し,表面圧力および周辺流速を測定し,既往の研究に矛盾しない妥当な結果を得ることが出来た.これにより,本年度構築した測定システムが正常に稼動していることが確認できた. 続いて,正方形角柱をタンデム配置し,角柱間隔を角柱辺長Dで表すと,1D,3Dとして実験を行った.その結果,角柱間隔が1Dの場合は,角柱間には大きなスケールの渦が生じることなく,また下流側の角柱の存在により,カルマン渦が壊され,細かい乱れを多く持った流れになることがわかった.一方,角柱間隔を3Dとした場合,角柱間に大きな渦が生じ,より流れの変動が大きくなった。下流側の周辺流速もそれに伴い,変動が大きくなり,下流側角柱の後方においてもカルマン渦が生じていることが確認された. 以上のように,本年度の研究により,正方形角柱をタンデム配置した場合,角柱間隔により,角柱間の流れパターンに大きな違いが生じていることが把握できた.またその際,表面圧力と角柱間の流速を測定したことで,今後の乱流モデル開発に必要なデータを取得することが出来た。現在,本年度行った実験条件に合わせた数値流体解析を実施中で,来年度の土木学会全国大会において,以上の内容で発表を行うことを予定している.
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