地盤防災や環境保全のためのハザードマップ作成のためには、広域の地盤構造の把握とその物性値の空間分布を取得することが必要である。 地盤構造の把握では、既存のデータを有効に活用し、地盤工学的な視点から、その空間的な分布を視覚的かつ定量的に把握する必要がある。 平成18年度は、北海道地盤情報データベースを利用し、石狩平野における地盤構造の把握の試みを、地盤工学的知見および統計的手法を融合した手法を提案し、その有効性を検証した。 まず、地盤を構成する土の空間的な分布を、土の粒径とその組成に着目し、加重平均手法に基づく空間補間法のうち、IDW法とクリギングによる適用性の検証を行った。その結果、比較的変化の少ない地盤構造と推測される地域においてはIDW法でも適用できることを示した。 その結果を利用して、広域な地盤構造モデルの作成を行い、それを断面表示する可視化を行った。これにより、定量的かつ視覚的に地盤構造を把握することが可能となった。 さらに、地盤物性値の中でN値による地盤の強さの判定は、液状化危険度算定に見られるように、欠かすことができないものである。そこで、N値の空間的特性を把握する最初のアプローチとして、対象領域が設定されたとき、ある土質に着目したときの深さ方向のトレンド成分を、多量な情報から推定する方法を提案し、その活用性を検討した。その結果、深さ方向のトレンドを明瞭に判断することが可能となったが、実用化するためには、実測値とトレンドとの差異を解消するために、水平方向の情報やその空間相関を検討することによって、実測値をうまく説明できる手法へと展開できると考える。 以上の成果を、学会研究発表会ならびに国際会議にて広く意見を伺い、研究成果の高度化を進めていく。
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