研究概要 |
2004年7月13日新潟県中越地方を未曾有の豪雨が襲った.その時の降雨量は,三条市,見附市,長岡市,栃尾市を含む南北20km,東西100kmのエリアにおいて250mmに達した.新潟県によると,この豪雨は,破堤11箇所,300以上の斜面崩壊を引き起こし,死者15名(内,土砂災害は2名),26,000世帯が浸水した.そこで,三条市における五十嵐川の破堤と出雲崎町中山における斜面崩壊について,崩壊メカニズムを明らかにするために詳細な調査を行った.含水状態を変化させた土に関して一面せん断試験を行い,さらに,不連続面に着目したせん断強度を求めるために,リングせん断試験を行った.これらの試験から得られた強度定数を用いて,斜面安定解析を行った.最終的に,豪雨における土砂災害に関して,土質定数の決定,不飽和透水や斜面安定解析を用いた新しい簡易評価手法を提案した. 次に,東北新幹線(八戸-新青森間)三本木原トンネルより採取した砂を用いて飽和砂および不飽和砂の三軸圧縮試験を行った.密度の異なる三種類の供試体を作製し,サクションを変えそれぞれのせん断特性について調べた.トンネル工事において,地下水位低下により切羽の安定性を評価することは,重要な課題である.ここで得られた結果は今後,トンネル工事に伴う切羽安定に関する研究を行うにあたりパラメータとして使用する予定である.
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