研究課題
平成17年度は、アジアの水環境を算定するために必要な数値モデルのセットアップならびにモデルの入力データの整備を行い、それらのデータを用いた長期試験ランを行った。用いたモデルはこれまでに申請者が開発・利用してきた陸面モデル(熱水収支と斜面流出過程から数十km四方の積雪・土壌水分・平均流出等を算定する陸面モデルと、流出量を流域単位で積分する河川モデル)であり、このモデルをアジア特有の水循環のシミュレーションを行うために、アジア地域におけるモデルの精度検証と必要な改良を行った。具体的には、代表者が所属する研究グループにおいてモデル検証データがそろっているアジアの代表的な湿潤河川であるメコン川と乾燥河川である黄河の2河川流域を対象とし、陸面モデルの水文循環の詳細な検証を行い、モデルの改良を行った。また、乾燥地流域であり、観測値への人為低影響が大きく、かつ降水の流出過程を改良する必要のあった黄河流域を対象とし、水文モデルの相互比較実験をおこなった。すなわち、代表者による計算結果と、観測結果、ならびに分布型水文モデルBTOPMC、黄河の精華大学のYang教授らが開発した水文モデルを用いた数年間のシミュレーションを行い結果の比較を行った。この実験から得られた知見をもとに、代表者のモデルにおける地下水流出過程を地下水位に応じて適切に流出が出るように改良することができた。モデルの入力に必要な降水データの収集とその整備を行った。用いたデータは主に、GAME-Tプロジェクトが公開している東南アジア地域の降水量観測データと、メコン水利委員会がメコン川流域上を中心に収集している長期降水量データの2種類を中心とする。この2つの降水量データは重複する地点が存在したため、それらをつき合わせることでいくつかのデータの不備を発見した。そこで、それらの発見された不備を自動的に検出・修正するツールを作成し、データのクオリティチェックを行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
水工学論文集 50(CD-ROM)
ページ: 97-102
Journal of Geophysical Research (Atmosphere) 110(D19)
ページ: 10.2029/2004JD005492