ドライバーは運転中、対向車両や流入車両など様々な種類の視覚的情報から精神的に影響を受ける。このような影響は、ドライバーに対してストレスを発生させ、発見の遅れによる急ブレーキなど、交通流を乱す原因を生み出している。したがって、ドライバーのストレスはどのような状況でどのように発生するか明確にすることが重要と考えられる。 本研究では、運転中のドライバーが視覚的情報、車両挙動から受けるストレスを明らかにし、ストレス発生に影響を与える要因、また、信号待ち時のストレス変化を明確にすることを目的に、瞬間的ストレス、断続的ストレスの2つの観点から分析を進めた。ここで、瞬間的ストレスとは、ドライバーがある状況を迎えて即時に発生するストレスをさし、断続的ストレスとは、ドライバーが低速車両を長い時間追従することにより次第に蓄積されるであろうストレスをさす。 実験データをもとに、ストレス発生に影響を与える要因、信号待ち時のストレス変化の明確化について分析した結果、瞬間的ストレスについてみると、「前方車のブレーキ」が最もドライバーのストレス発生に影響を与えていることがわかった。また、ストレスをこれら要因の発生頻度と関連づけて分析すると、その発生回数の少ない方がストレス上昇が大きいことを確認している。一方で、断続的ストレス要因については、信号待ちが長くなるとストレスが大きくなることを明確にしている。 今回の実験では、分析対象とした道路区間はほぼ直線道路の起伏のあまりないものであったため、今後は、道路線形の影響も見ることが課題としてあげられる。
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