本研究では、今後の我が国の測量業のあり方の議論に資することを最終的な目標としながら、特に、産業としての我が国測量業の特徴とそれが抱える課題を明らかにすることを目的とする。 最終目標である『産業研究』という視点から、今年度は、次の1.〜2.を実施した。 1.文献・報告書のレビューや測量業務に携わっている人達へのヒアリング通じ、以下内容を調査・整理した。 (1)我が国の測量業とこれに関わる法制度の経緯・現状:測量法の公布時(昭和24年)から現在に至るまでの測量業と関連法制度の変遷。国土交通省公共測量作業規程等が業界に及ぼす影響。 (2)測量業と密接に関わる他の産業との関係:特に建設業や不動産業との関係。具体的には、資金の流れ、業者選定の慣行、兼業等の実態、など。 (3)過去約10年における測量業の変革:電子測量機器等への設備投資の動向、機器の導入が生産性・売り上げへ及ぼす影響。屋外での測量等や室内での様々な業務の内容・時間等の労働状況の変遷、受注契約の内容とその変遷。第5次国土調査事業十箇年計画、土壌汚染問題等が業界に与えている影響。地図作製作業におけるアウトソーシングや海外発注の実態。 (4)測量教育の変遷・資格制度見直しの機運:高等教育機関における測量関連教育の変遷。測量士・士補制度見直しの議論。 2.産業としての測量業の特徴の整理を行うために、上記1.の(2)・(3)をもとに、他の業種建設計業・建設コンサルタント業・不動産鑑定業など)と測量業の類似点・相違点を明らかにするための分析を試みた。 3.諸外国の例として、英国における測量業の動向を調査し比較の対象として取り上げ、わが国との比較を前提とした測量業の実態調査を行った。
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