研究概要 |
測量技術が飛躍的に発展する一方で、我が国では公共事業費が大幅に削減され、従来型の測量業務量が減少している。本研究では、いわば供給過剰な閉塞状況に入りつつある我が国の測量業のあり方の議論に資することを最終的な目標としながら、特に、産業としての我が国測量業の特徴とそれが抱える課題を明らかにすることを目的とする。 今年度は、『産業研究』という視点から、次の1.〜5.を実施した(1.〜3.は昨年度から継続) 1.我が国の測量業の実態に関する調査 我が国の測量産業に関する既存統計、分析、資料等を整理し、産業研究を行う上での問題点を明らかにした。 2.産業としての測量業の特徴の整理 平成13年度及び15年度の国土交通省登録簿に基づく約14,000の測量業者のデータベースを作成し、収益性や生産性等の分析を行った。分析は資本金階層別と既存統計では分析がなされていない測量専業率階層(売上げに占める測量高の割合)別に業者を分類して行い、同じ資本金階層内でも専業率によって売上高や収益性に差異があること等を明らかにした。 3.諸外国における測量業の実態調査 4年に一度開催されるFIG(Federation Internationale des Geometres:国際測量者連盟)の第13回国際大会(18年10月、ミュンヘン)に出席し、海外の測量業の動向に関して情報収集を行った。 4.我が国の測量業の特徴の整理と今後のあり方についての議論 1.〜4.を踏まえて、我が国の測量業の特徴を整理するとともに、公共事業費が大幅に削減される見通し下における業界の適正な経営指針や継続教育等のあり方について考察を行った。 5.研究成果のまとめと公表の準備 本研究の成果を社会へ還元するため、平成19年度の写真測量学会や土木学会での発表準備を行っている。また、(社)日本測量協会発行の月刊『測量』等への投稿についても検討中である。
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